土地利用に関するルール変更とバックヤードスイート

2018年3月12日にカルガリー市議会は、長年議論されていたセカンダリースイート規定の緩和に係る修正事項を市の土地利用方法を定める条例であるLand Use Bylawに追加することを承認しました。
セカンダリースイートとは居住用物件の母屋内にありながら玄関、台所、バスルーム、寝室等が母屋とは別になった構造の二世帯住宅の様なもので、ベースメントスイート等に代表されます。
ここでの大きな修正点は、今までセカンダリースイートの建築が認められていなかったR-1, R-C1, R-C1Lに分類される居住用区画において、条件付きながらもその建築が認められる可能性が産まれたことです。

セカンダリースイート建築の許認可過程においてはPermitted useとDiscretionary use と呼ばれる二通りの土地利用に係る用途規定があります。前者は当該物件が建築基準、消防法や土地利用規定等の基準を満たす限りは許可される用途一覧でDevelopment permitの申請が免除されます。
後者は前者同様の基準を満たした上でDevelopment permitの申請が必須となり、その審査過程には隣接する住宅所有者や当該コミュニティからの意見聴取等も含まれます。結果次第では申請内容の変更を求められたり、それ自体が却下される可能性もあります。

市が重要視するポイントの一つとしてはその隣接住宅やコミュニティへのインパクトがあります。あなたの申請がその地域に有用で利益をもたらすものかが判断されることになり、またその分時間もかかります
今回の変更に係るボーナス的な措置として、本来求められるDevelopment permitの申請費用が2020年6月1日まで免除されるのは特筆すべき点かもしれません。

バックヤードスイートのポテンシャル

今回のルール変更はR-1, R-C1, R-C1L区画のバックヤードスイートには適用除外となっていますが、近い将来のルール変更を見据えてカルガリー市は現在その情報収集(バックヤードスイートのデザイン等)をしています。

バックヤードスイートに代表されるスタイルは、裏庭のある戸建て物件で、尚且つバックレーンに面するディタッチのガレージの上に作られたスイートです。2階建て構造のガレージを想像すると良いでしょう。

確証はないものの近い将来R-1, R-C1, R-C1Lの区画でもバックヤードスイートの建築が認められる可能性があります。需要があるから議論されている、需要があるから建築される、と考えると、将来その需要の見込まれるエリアには付加価値が付く可能性があると言えるでしょう。

現在お住いのエリアがR-1, R-C1, R-C1Lの区画に該当する方、あるいはこれから不動産購入を予定してらっしゃる方はこのルール変更の行方を気に掛けるのも良いかもしれませんね。需要が見込まれる場所の特定は難しいものの、ポイントの一つとしては“ディタッチのガレージ建築に好ましいバックレーンがあること”でしょう。

ご自宅がどの区画に分類されるのか?より詳しい情報にご興味のある方向けリンク
http://www.calgary.ca/PDA/pd/Pages/Home-building-and-renovations/Applying-For-A-Secondary-Suite.aspx

2018年5月9日 | Category : その他 | Author : J CAPITAL REALTY admin

12月カルガリー不動産市況

2017年12月のカルガリー不動産市場は全ての住宅タイプにおいて販売(需要)が改善し2か月連続で長期的な平均に達したものの、同時に新規売り出し物件(供給)も典型的な12月のレベルに増えたため、結果として市全体のベンチマークプライスは5か月連続で下がりました。

戸建て市場は2017年上半期は販売が好調で価格上昇となりましたが、価格の上昇は売り出す好機と判断され売り物件が増えたことにより上昇が抑えられることとなりました。結果として2017年通年の戸建てベンチマークプライスは$504,867となり、前年比で0.63%の上昇に落ち着きました。

タウンハウスや2世帯住宅スタイルの物件も年初から第三四半期まで同様に価格上昇がみられましたが、第四四半期には増加する売り物件の影響もあり、2017年通年のベンチマークプライスは$332,325となり、前年比ではマイナス0.13%の微減に落ちつくこととなりました。

アパートメントスタイルの集合住宅に関しては、引き続く供給過多が新築・中古市場共に重しとなり前年比で4%の下落となり、2015年からのリセッションからは12%の下落となっています。

多くの経済指標が改善する中で、2017年カルガリー不動産市場は第四四半期を強い販売の増加で終えましたが、同時に景気の回復を待ちわびていた売り物件が増加する両側面を持つ年となりました。